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限界日誌

今日も一日限界生活

ロンメル元帥は二度死ぬ(かもしれない)

 連邦国防軍陸軍の将校、フランコ・Aなど3名が難民を装いヨアヒム・ガウク前連邦大統領やハイコ・マース連邦法務大臣などの政治家の襲撃計画を立案していた事件が報道された。

www.afpbb.com

 彼はどうやら極右的思想を有していた(しかもそれを隠すことはせず、学術論文でもその見解を明らかにしていたらしい)ようで、かねてより厳格な反ナチ的姿勢を示していた国防軍内でのこの不祥事は相当な衝撃を与えた。

 フォルカー・ヴィーカー軍総監は、全兵営(駐屯地)に旧国防軍関連の物品が存在しないかの捜索を命じ、もし存在するならば排除する方針を明らかにしている。

 捜索の過程において随分と兵営内に旧国防軍関連の物品があることが発覚したらしく、ウルズラ・フォン・デア・ライエン連邦国防大臣が兵営を視察した際にも営舎内に旧国防軍の記念品が展示してある状態だったようだ。

www.afpbb.com

 フランコ事件によって渦中にある兵営だが、実はそのうちのいくつかには過去のドイツの偉人の名前が冠されている。例えば、

などが存在する。

 シュタウフェンベルクやオルブリヒトのように、暗殺計画の実行に伴い処刑された人物であれば今後旧国防軍の遺産への規制が強化されてもその名が廃されることは考え難いが、ロンメルのように、最後に自殺を迫られたとはいえ、アフリカ戦線で英雄的な活躍を見せた軍人の顕彰は、旧国防軍の賛美に対する連邦国防軍側の今後の方針によっては難しくなってくるかもしれない。

 連邦国防軍と旧国防軍とをめぐる不祥事は今に始まったことではなく、1976年に第二次大戦で超人的な活躍を見せ、親ナチ的言動を示していたハンス・ウルリッヒ・ルーデルをめぐる不祥事(ルーデル・スキャンダル)が問題となり、将官が辞職する騒ぎにまでなった。

 このときはまだ旧国防軍出身者が現役であったが、当然今問題となっているフランコ・Aは戦後生まれ、中尉であったようだから若手将校である。しかも先述の通りその思想を隠していなかったのにもかかわらず有効な対策を取れずに襲撃計画の立案まで許したことは、過激思想に対する対策を建軍当初から進めてきた国防軍の根幹に関わる問題であり、連邦政府は今年の秋に連邦議会選挙が予定されるなかで「軍と過激思想」という極めて困難かつ根本的な問題に向き合うことを余儀なくされるだろう。