限界日誌

今日も一日限界生活

WAIS-Ⅲを受けた

 「自分は発達障害かもしれない」と思い始めてはや3年、ついに病院で検査を受けることになった。決まったら意外にトントン拍子で進むもので、面倒だと思っているうちに近所の病院から紹介状を取り付けて阿見町の大学病院に掛かることになった。

 初回の受診時には主な症状を話し、同行した家族からの意見聴取(昔の行動まで医師に話されるため同席していると気まずい。できれば別室でやってほしい)の後、翌週に検査の予定を入れ終わった。

 ということで迎えた検査の日、コミュ障に優しい自動受付機で受付を済ませた後別館の精神科へ向かう。そして医師と少し話した後臨床心理士が控える部屋へと案内され、2時間弱の苦行が始まった。今回受けるWAIS-Ⅲ(ウェクスラー成人知能検査)はその名の通り成人(16歳以上)の知能を判定するもので、主に言語性検査と運動性検査に別れ、さらに下部分類が存在するらしいが心理の専門家でもなんでもないのでWikipediaでも参照して欲しい。

 だいたい検査内容は、

  • ある光景が載ったカードを提示し、不足しているものを答えさせる(例:ドアノブがないドアのイラスト)
  • 言葉の定義を答えさせる(例:「失言」と書かれた紙を提示し、その意味を説明させる)
  • 2つの単語を示し、その共通点を答えさせる(例:「仕事」と「遊び」)
  • 人が連続して動作をしているイラストが載ったカードを複数枚並べ、ストーリーを持つように並べさせた上で内容を説明させる
  • 計算問題を出題し、暗算させる(例:15+5+10の平均は何か)
  • 数字または数字とかなを読み上げ、それを復唱させる、または逆から言わせる
  • ある図形を示し、同じ形があるかどうか答えさせる
  • 常識について質問し、答えさせる(例:江戸幕府創始者日本三景
  • ある物事の理由について説明させる(例:婚姻制度はなぜ必要か、山への植樹はなぜ必要か)
  • 積み木を渡し、例通りに組み立てさせる

などといったものであった。

 これが2時間続き、難易度は簡単なものから考え込んでも分からないものまで幅広いため、終了後は相当疲弊した状態になる。このWAISはニュルンベルク裁判の被告人にも行われたウェクスラー・ベルビュー式知能検査(考案者のウェクスラーはユダヤ系だったようで、ナチスの要人が多く訴追されたニュルンベルクでこれが行われたのはなかなか面白い)の改良型で、戦犯として訴追された上にこんな検査をやらされたらたまったものじゃないなという感想を抱いた。

 そして結果が出る7月10日、またいつものように受付を済ませ精神科に向かった。今回は気をつけて10時前に来たが30分待機。月曜だし病院なので仕方ないといえばそうなのだが、せっかちの気があることや、自分の知能指数がわかることもあってそわそわしつつ時間を過ごす。

 そして診察室内に呼ばれ、簡単に検査の感想を聞かれた後に結果の通知へと移った。やはり知能検査の結果は相当繊細な情報のようで、通知前には同行していた家族を退室させるか否かまで聞かれた。どうせろくな結果ではないだろうしあまり聞かれてほしくはないので席を外してもらった後に、3枚のA4用紙を渡された。WAIS-Ⅲのレポートだ。臨床心理士が検査毎に作成しているようで、検査の様子や結果、考察などが記載されている。しかし医師いわくこれは概要のようで、詳細は別にあるらしい。

f:id:GenInspIbk:20170710220717p:plain

表紙。グラフで結果が記載されている。

 

 気になる結果だが、このグラフの通り、極めて分野ごとの差が目立つものになった。

 

f:id:GenInspIbk:20170710221220j:plain

 言語性IQが132とかなり高い数値になっているのに対し、動作性IQは99、これらを合算した全検査IQは120となった。一応「全体的な知的能力の発達水準は高いと推定」とはなったが、これだけの開きとなると、「意味のある差」と結果に表記されることとなった。

 各分野の分析についても、言語理解は「語彙が豊富であること、日常的な問題解決や社会的ルールについての実際的な知識が豊富にあることがうかがえ」ると指摘される一方、知覚統合については、「平均程度有していると考えられ」るとされたが、「形の弁別や規則性を見つける作業は苦手と考えられ」る、「物の整理や分類はやや苦手かもしれ」ない、「部分間の関係性を掴むことや柔軟に思考することが苦手と推察され」るという見解であった。

 まとめとしては、「目で見た情報の処理、絵や図の理解や操作が全般的に苦手といえ」、「視覚情報より明確な言語指示の方が理解しやすい、視覚情報とともに言語説明があると理解しやすい傾向と推察」とのことだった。

 確かに指摘されてみると、昔から絵や図表を多用したものよりも文字の羅列によるレジュメを好む傾向があったし、私が資料を作成するときも文字列が中心で、図表のたぐいは最低限、申し訳程度になる傾向が強い。思考についても、どうもテンプレート的で保守的な傾向が強く、なぞなぞのようないわゆる「柔軟な思考」が要求されるものは苦手であった。

 なお発達障害の診断については、この検査や、チェックリストの結果を総合するに、診断の境界線上にあり、投薬を要する状態ではないとのことだった。この見解には私の幼少期のエピソードの情報が不足していることも影響しているようだ。ただ何らかの診断はできる状態らしく、具体的にどのようようなものであるかを特定するために検査を継続するようで、今度は自閉症スペクトラム指数のチェックリストを手渡された。

 発達障害の診断についてはいまだ途上だが、とりあえず本記事の趣旨であるWAIS-Ⅲの受検体験記についてはここで一区切りになる。自由診療ではずいぶんと高額になるようだが、保険が適用されれば数千円で受けられるので、もし引っ掛かるところがあれば試してみてもいいかもしれない。